風は囁く「君と輝きたいから」

「本当にあるんだな。GWに理久と安坂さん、3人で温泉地へ行った時、怪盗事件に遭遇して……。
ヴァイオリンロマンスが、うちの大学にあるという話を聞いたんだが……半信半疑だった」


「半分は信じていたのね」


「ああ、『シレーナ』を盗まれそうになったからな。
何とか無事だったけど」

周桜くんは肩に掛けたヴァイオリンケースを軽く叩く。


「面白そうな話ね」


「そうか? 野郎同士の旅話なんて……」


「違うわよ。ヴァイオリンロマンスと怪盗事件」


「物好きだな」


「謎解きはランチを食べながらしましょうよ」

緒方さんはフフっと微笑んで、周桜くんの手からメモを抜き取った。


「緒方っ」


「席を確保しておくわね」

緒方さんは正門正面にあるカフェ·モルダウへ向かって走っていく。


「強引ね、緒方さん」

周桜くんに声をかける。