風は囁く「君と輝きたいから」

「コレクターから別格……スゴいね」


「数千万とも、値段はあってないとも、言い値でいくらでも値がつくとも言われていて……『シレーナ』と名前がつけられてるの」


「シレーナ……」


――「シレーナ……小百合さんが、たしか


俺は嫌な予感がした。


「シレーナというはのは、ギリシャ神話ではセイレーンのことなの」


「セイレーン……」


「シレーナは魅惑の声で歌うの。セイレーンはね、半人半鳥の妖女で四姉妹なの。それぞれ美しい声、説得力、歌声で、航海する舟人を惑わすの」

ああっ……やっぱりと思った。


「学オケのコンマス貢が『ガダニーニのシレーナ』は音色が特殊で、誰でもが弾けるヴァイオリンではない、扱いのすごく難しいヴァイオリンだ。俺だってまともに弾けるかどうかわからない』と言っていたわ」


「うわーーっ、聞いてるだけでヤバそうやな」