風は囁く「君と輝きたいから」

毎回チケットも完売で、すごく評価されているのに、不思議でならない。


「ん……周桜くんは街頭演奏を始めた頃から『ローレライ』と言われているんですって」


「!? 中2から……っ」

声がひきつる。


「周桜くんの弾いているヴァイオリンが、原因だという噂もあるの」


「曰く付きの、妖刀村正みたいなヴァイオリンだって、前に聞いたけど」

空が以前、金管楽器メンバーと話した時のことを引っ張り出す。


「妖刀村正?」


「えっ、知らんの? 徳川3代を次々に呪い殺したいう江戸時代の名刀。村正いう刀職人が作ったんや」


「周桜くんのヴァイオリンは、呪ったりはしないと思う」

俺は、「郁子さん、ここは『何でやねん』って、笑ってツッコミ入れるところだよ」と言いたくなったけれど懸命に我慢した。