風は囁く「君と輝きたいから」

「会議が長引いてと言ってたな。『あの子達を傷つけたくない』と言った気迫が凄かった。
だから……交代を彼女から望むはずがないと思う。真意を聞きたくて……守りたいなら、自殺なんかするなと言いたくて」

詩月さんは言いながら、胸に手を当てる。
呼吸を整えるように。


「もしかして、デート中だった?」

俺はニヤニヤしながら訊ねる。


「デート……」

詩月さんと郁子さんは、顔を見合わせる。


「ん……そうね。端から見たらデートかも」


「緒方……偶然、同じ電車に乗り合わせただけだろ」

「偶然? なのに、一緒に?」

空が不思議そうに詩月さんの顔を見る。

詩月さんは「偶然だ」と言いながら、どこか落ち着かない様子だった。


「顔、紅くなってるよ」

俺と空に言われて、詩月さんの頬は本当に、ほんのり紅くなった。