音楽科は、著名な演奏家を数多く世界中に送り出しているとか。

そんなこと、何かどーでもよくね? と思う。

オーケストラ部には、いつ辿り着くのさ? と不安になってしまう。

 学長が正門にはヴァイオリンを弾く女神(めがみ)像が、裏門には竪琴を弾く男神(おがみ)像が建っていると話した。

女の子が数人、煉瓦を敷き詰めた丸い幾何学模様の外側で、後ろ向きになっている。

そして、指でコインをはじき「あぁ、ダメだ」と溜め息をつく。

「学長さん、あの人たちは何をしてるんですか?」

俺は興味津々で、学園伝説があったら楽しみだと思い訊ねてみる。

「ああ、ヴァイオリンロマンスだ」

――ほらほら、ほらね。学園伝説、キターーっ

俺は身を乗り出し、学長の言葉を待つ。