風は囁く「君と輝きたいから」

弔問の時に聴いた曲は、あの日の何倍も優しくて、暖かい。

誰も居ない席。
ユリの花が、ただ生けてあるだけの席。

だけど、そこにおばあちゃんが座って笑っているような気がしてくる。


「周桜くんの演奏は、語りかけてるのよね。『懐かしい土地の思い出』を弾く時は、リリィさんしかいないみたいに」


「あら、妬いてるの?」


思わず言ってしまった。


「別に……」

緒方さんの戸惑った……でも頬をほんのり染めた顔を見た時、この人は周桜くんが好きなんだと思った。


――いつも安坂さんといるくせに

嫌な感情が、喉元まで押し上がってくる。


――口に出してはいけない


モヤモヤする気持ちを抑える。


「どうかした? まだ何か」


「……動画の周桜くんを思い出して」

口をついて出た言葉と、どこか辛そうに見えた周桜くんの姿。