「ったく、何なのよ。あの学長は!」

ゲゲッ、朝から凄い雄叫びが事務所から聞こえてきた。

マネジャー舞園桃香さんは、ご機嫌斜めだ。

「金管楽器のアンサンブル演奏なんか画面に映らないんだから、誰が演奏してもいいじゃない!? 何で聖諒のオケ部の学生に演奏させろなんて、しゃしゃり出てくるのよ!!」

「桃香さん、眉間にシワがよってる~」

「うるさい、遥」

「痛~い……」

桃香さんは、俺の頭にゴツンと拳骨を落とした。

「遥、聖諒のオケ……オーケストラ部へ行くわよ。昴と空を呼んできなさい」

俺は桃香さんの言葉に、拳骨の痛さを忘れるくらいウキウキした。

 聖諒学園、あの周桜さんのいる学校。

周桜さんがどんな学生で、どんな環境で演奏家を目指しているのか?

少しでも知ることができればと思った。