風は囁く「君と輝きたいから」

「リリィは、デタラメだったヴァイオリン演奏に、息を吹き込んでくれた人だ。思いを伝えられなくてどうする」

正門のヴァイオリンを弾く女神像の下。
周桜くんは女神像を見上げて、自信満々に言う。


「リリィに似ているよな」

「えっ!?」


「叱られた記憶がないんだ……上手く弾けなくて泣いてばかりいた。泣いてると、必ず弾いてくれたんだ……弔問で弾いた曲」

頼りない笑顔だった。


「他の曲はたくさん誉めてくれた。だけど……あの曲だけは誉めてもらえなかった。悔しいから、月命日に必ず弾くんだ」


「あなたって、見た目と中身が違うわよね。スッゴい負けず嫌い」


「向上心がないと、一流は目指せないからな。頑張らないで泣くのは嫌なんだ」

「頑張って勝てない時は?」


「自分の頑張りが、勝った奴には及ばなかった。それだけだ」