「何やそれ?」


「ん……詩月さんのヴァイオリンの先生が歌ってたんだって。画像見てたら、詩月さんのイメージだなって思った。ゴンドラの唄って言うんだって」


「続きは?」


「えっとね……命短し恋せよ乙女 紅き唇 あせぬ間に 熱き血潮の 冷えぬ間に 明日の月日はないものを♪」

何が詩月さんのイメージにピッタリなのか? よくわからないのに、俺は歌いながら、詩月さんがヴァイオリンを弾く姿を思い浮かべている。

病弱で入退院を繰り返しながら、精一杯頑張ってきた詩月さん。
そして、一生懸命に、今日を生きてる詩月さんの姿が浮かぶ。


「命短し 恋せよ乙女 黒髪の色 褪せぬ間に 心の炎 消えぬ間に 今日はふたたび 来ぬものを♪」

俺は繰り返し繰り返し、歌った。


「熱き血潮の冷えぬ間に~♪」