「続けて。全部吐き出しなよ。ちゃんと聞いてるから」


「……遥」

詩月さんは一瞬、驚いたような戸惑ったような顔を向けて俯いた。


「耳を塞いでいていいなんて言うなよ」

詩月さんの手をギュッと掴んで、肩を引き寄せる。


「詩月さんは何でも我慢しすぎなんだよ」

詩月さんの胸の鼓動が伝わる。

不規則な胸の鼓動、荒い息遣いが聞こえる。


「辛いのを我慢なんてしなくていい」

詩月さんの腕が、しっかりと俺の体に廻される。

ピタリと密着した薄い胸。

詩月さんの体は熱かった。

また熱があるんだと思う。


「夜中に1人、母さんが腱鞘炎で曲がった指を見つめて……自分を責めて泣いていて……理久が何もかも知っているのに……落ち込むからと……気にして何にも言わない」

詩月さんは廻した腕に、ギュッと力を込める。