風は囁く「君と輝きたいから」

詩月さんは「ありがとう、良かったな」とニコリ、きれいな笑顔を返す。


「彼女を誘って観にきてな」

昴は詩月さんの笑顔に連られたように、とびっきりのアイドルスマイル。

ん……俺の方が絶対に上手いと思った。


「彼女、いないけど」


「ウソ?」

金管楽器メンバーが、笑っている。


「お前さ、緒方を誘えば?」


「緒方か……アイドルに興味あるのかな」


「そうだよ。詩月さん、緒方さんがいるじゃん!」


「緒方は彼女ではなくて……ライバルかな」


「おいおい。素っ気ないな。あんな才媛、他にいないぜ。しかもミス聖諒だぞ」


「緒方には……安坂さんがいる」

詩月さんは呟くように言って、歩き出した。


「周桜?」


「ちょっ……詩月さん!?」

呼び止める俺の声が、虚しく通路に響く。


「あれは、相当疎いタイプだな」

ホルン奏者が、ため息混じりに呟く。