風は囁く「君と輝きたいから」

「周桜、たまにはオケにも顔を出せよ。お前なら……次期コンマスもいけるよ」

金管楽器、トランペット奏者が、詩月さんに言う。


「ご冗談を……」


「Nフィルと、あれだけの演奏をしているのに、よく言うよ」


「……安坂さんと同じことを言うんですね」


「ん!? 不満か?」


「いえ……不安だらけで」


「お前が!?」

出口へ向かう通路に、低い声が響く。


「周桜さーん」

昴がニコリともせずに近づいてきて、紙袋いっぱいのポスターを差し出す。


「CMのポスターや。前みたいに、貼る側から剥がされるほど人気出たらええんねんけど」

詩月さんは、戸惑ったような顔で紙袋を受け取った。


「ほんで、これ。コンサートチケット。7月に『ハーバーフューチャーホール』で、コンサートが決まってん……自分がコラボしたアイドルグループがどんなパフォーマンスするんか、観に来てや」

昴がチケットをしっかりと、詩月さんの手に握らせる。