俺、兄貴になりました③




はぁ、はぁ、と息をする翠。


翠に近寄ろうと、一歩踏み出そうとした時、ポケットの中の携帯が鳴った。



「もしもし…あぁ、分かった。今行く」



電話の相手は、迎えに来た同僚から。


こんな状態のまま仕事に行きたくない。



「翠、俺仕事行ってくるから。あいつらのこと頼むな」



翠の頭を撫でようと手を伸ばした時、翠の体がビクッと震えたのが分かった。



…マジで嫌われたな、俺。



「…ごめんな」



それだけ言って、俺は手を引っ込めた。

仕事の荷物と宿泊用の荷物を持って玄関へ向かう。



「翔にぃ、なんか怒鳴り声が聞こえたんだけど…何かあったの?」



靴を履いていた時、階段から降りてきた陽が、俺を心配そうに見た。



「あー、俺があの部屋見ようとしたから翠が怒っただけだよ」



俺の言葉を聞いた瞬間、陽の目が見開いたのが分かった。



あぁ、これで俺は陽にも嫌われたな。