俺、兄貴になりました③




俺はあの例の部屋の前に立った。


ゆっくりとドアノブに手をかける。


このドアを開ければ、兄弟の秘密が分かる。




開けない方がいいという自分と、開けてしまえという2人の自分が、頭の中で戦っている。



でも俺は、あいつらの為に何かしてやりたい。


悩んでるんだったら、力になってやりたい。



だから。




グッとドアノブを握る手に力を入れた。


その時だった。




「翔にぃっ!!」




後ろから、驚いたような大きな声で俺を呼ぶ声が聞こえた。



振り返ると、翠が目を大きく見開き、何か焦ったように顔を強張らせて立っていた。