俺、兄貴になりました③




慶くんの部屋に戻ろうと階段を登っていると、何やら2階からバタバタと足音が聞こえてきて。



誰だろう?


慶くん…ではないか。




バタバタとした足音はどんどん近づいてきて。


ドンッ。



「きゃ……」



階段を丁度登り終えたところでその足音の人物とぶつかった。




「あっ!愛ねぇゴメン!大丈夫だった!?」



その人物は、今年高校一年生になった九男の尚くんだった。



甲子園に連続で何度も出場している強豪校にスカウトされ、更には一年生ですでにレギュラーとしてユニフォームをもらっているみたい。


強豪校って、部員が100人越えてるのとか普通だよね。


その中で数人しか選ばれないところに、一年生がいるだけでも驚きだよ。




「尚くんかー。うん、大丈夫だよ」


「ホントごめん!急いでて…」



両手を合わせて私に謝ってくる尚くん。


怪我とかもしてないから大丈夫なのに。