俺、兄貴になりました③




確かに、過ちを犯してしまったかもしれない。


遠回りをしてしまったかもしれない。

けど、それは必ず取り戻せる日がくる。




ちゃんと自分がしたことを受け入れて、素直な気持ちで相手にぶつかれば、きっと分かってくれるはず。




必要なのは、ぶつかる勇気。




それさえあれば、きっと大丈夫。





「兄貴」



恋が俺を見る。



「ありがとう」



ふわっと笑った恋の表情は、今までよりずっと晴れやかだった。



…本当の笑顔、取り戻したな。





「ちょっと、ちょっとー!恋、俺に黙ってたこと謝ってよ!」


「あー、ごめんごめん」


「軽っ!!俺がどんなに悲しかったか知らねぇだろ!!」


「「まぁ、まぁ。仕方ないよ、蒼にぃ。だって蒼にぃに言ったら母さんに殴りかかりそうだもん」」


「なんだと!?このサッカー馬鹿共!!」


「「ありがとう」」


「褒めてねぇよ!!」




あぁ、また始まったよ。




でも、これが久遠家なんだ。


悲しいことがあった後には、必ずこうして兄弟が笑いに変えてくれる。