俺、兄貴になりました③




さて。



「お袋、恋に謝ってくれるよな?」




目の前で、蒼が何もしてやれなかったと恋のために泣いたんだ。



この様子を見て、謝らない奴はいないだろ。

お袋は恋のほうに向き直ると、ゆっくりと口を開いた。



「恋、ごめんなさい。これで許してもらえるなんて思ってないけれど…でも、お母さん、これからは本当にちゃんと向き合って行きたいと思ってる…今まで本当にごめんなさい」



お袋はそう言って深々と頭を下げた。




「顔あげて、母さん」




恋はお袋の目の前にくると、同じ目線の高さになるようにしゃがみ、優しい笑みを浮かべた。



「俺、母さんのこと嫌いじゃないよ。ただ、苦手なだけで。
昔のことを恨んでるわけでもないし。

今になって、あの時俺も、素直な気持ちをぶつければよかったんだって思うよ」



「恋…」



「母さん、ここから始めようか。親子としての一歩。きっと向き合える……だって、家族なんだから」




そう言って恋が笑いかけると、お袋は泣き出した。



その様子を見て、俺はふぅ…と安堵のため息を着く。