とりあえず慶くんの部屋に戻ろうと、廊下をバタバタと通っている時だった。 「きゃっ…」 ドンっと何かにぶつかってしまった。 なんだろうと思って顔をあげるた瞬間、私の胸がまたドキンと音をたてた。 だって……。 だって……。 「愛美ちゃんかー。びっくりしたよ」 「大丈夫?」 サッカー選手の双子のお兄さんがいたのだから。 いい色にこんがりと焼けた肌に、短く切りそろえられた髪は爽やかさをイメージさせる。 「愛美ちゃん?大丈夫?」 「おーい?」 大丈夫ですっ。 でも、声が出ないんですっ…!!