俺、兄貴になりました③




次の日の朝、俺は早速行動に出た。



朝食を食べて、部屋を出ようと準備をしていた時。



「お袋、ちょっといいか」




俺の声に、みんなが一斉に手を止めて俺を見た。



「翔輝くん、どうしたの?」



不思議そうに俺を見上げるお袋。



「単刀直入に言う。恋に謝って欲しい」


「っ…!」


「え…翔にぃ、どういうこと?」


「母さんが何かしたの?」




弟達の質問には答えず、俺は真っ直ぐにお袋を見下ろす。



親父も、弟も驚いたように俺を見ていた。



「お袋、自分が恋になにをしたか覚えてるよな」


「っ……」


「あんなことをしておいて、謝りもせずに距離を縮めようなんて虫がよすぎるんじゃねぇの」




ビクッと肩を震わせて、お袋は俯いてしまった。


謝る気はねぇって言いたいわけね。



「おい、翔輝。どういうことだ」


「お袋はな……」


「兄貴!」




俺の言葉に被せるように言ったのは恋だ。

言わなくていい。


そう言ってるのが表情で分かる。


けどな。