俺、兄貴になりました③




「恋、お前ずっとそれを一人で抱えてたのか」



「っ……」



「ごめんなぁ、すぐに気づいてやれなくて…」




兄貴の震えた声が聞こえてくる。




「なぁ、恋。お前がどんなにお袋から嫌われてようと、俺は絶対嫌いになんかならねぇ」




兄貴……。




「俺はずっとお前の味方だって誓ってもいい。だから、一度だけちゃんとお袋と話してみろ」



「え……」




兄貴は俺を腕の中から解放すると、真っ直ぐ俺を見て、優しく笑う。




「そんで、やっぱり嫌いだって言われたら、また俺んとこに来い。俺がそれ以上にお前を必要としてやるから」




兄貴の優しい笑顔を見て、また涙が零れた。




『翔ちゃんは全部受け止めてくれるよ』



凛ねぇ。


凛ねぇの言う通りだったよ。




兄貴は、俺を真っ正面から受け止めてくれた。



俺、頑張ってみるよ。

兄貴が真っ正面から俺を受け止めてくれたから。


俺も、真っ正面からぶつかってみるよ。




「兄貴……今の発言ホモっぽくてキモイ」


「お前っ…俺がせっかく慰めてやろうとっ…!!」


「ウソウソ。ありがとう、兄貴」




大丈夫、俺は進んでいける。


兄貴が俺の味方だと言ってくれたから。



必要としてくれる人がいるから。




前に、進もう。