「蒼がいるから、俺に話しかけてんじゃないかって……何か、裏があるんじゃないかって……っ……兄貴、俺どうすればいいの…?」
どうすれば正解なの?
どうすればよかったの?
「どうすればっ……これ以上嫌われなくて済むの…っ…」
「恋っ…」
兄貴に腕を引かれて、気づいたら俺は兄貴の腕の中にいた。
兄貴は、泣いている俺の顔を胸に押し当てるようにして抱きしめた。
「兄、貴…っ……」
22にもなって、こんなことで泣くなんてめちゃくちゃ格好悪い。
だけど、それ以上に怖かったんだ。
母さんを取り囲む弟達を見て思った。
いつか、皆が俺から離れていってしまうんじゃないかって。
一人になってしまうんじゃないかって。
俺はもう、兄弟からもいらないと言われてしまうんじゃないかって。



