「兄貴、俺さ…一度だけ、母さんに聞いたことがあるんだ」
「何を?」
「……母さんにとって、俺って何?…って」
「!」
聞いたのは、中学二年の時。
俺がたまたま熱を出して学校を休んだ時、忘れ物を取りに家に戻ってきた母さんに聞いたんだ。
その時だって、母さんは俺が熱を出してることに心配も何もしなかった訳だけど。
「お袋は、何て答えたんだ?」
「……何とも思ってない…ってさ」
「っ……!?」
つまり、母さんにとって俺は、ただ弟を守るだけの駒に過ぎなかったってこと。
流石に、グレてやろうと思ったよ。
母親にいらないんだと言われたも同然なんだから。
「お前、それ蒼達には…」
「言ってない。だから、蒼も知らない。母さん、弟達の前でだけは笑ってたから。
あいつらは、俺だけが嫌われてるなんて知らない」



