俺、兄貴になりました③




「兄貴、俺さ…一度だけ、母さんに聞いたことがあるんだ」


「何を?」


「……母さんにとって、俺って何?…って」


「!」




聞いたのは、中学二年の時。



俺がたまたま熱を出して学校を休んだ時、忘れ物を取りに家に戻ってきた母さんに聞いたんだ。



その時だって、母さんは俺が熱を出してることに心配も何もしなかった訳だけど。



「お袋は、何て答えたんだ?」


「……何とも思ってない…ってさ」


「っ……!?」




つまり、母さんにとって俺は、ただ弟を守るだけの駒に過ぎなかったってこと。




流石に、グレてやろうと思ったよ。


母親にいらないんだと言われたも同然なんだから。




「お前、それ蒼達には…」


「言ってない。だから、蒼も知らない。母さん、弟達の前でだけは笑ってたから。
あいつらは、俺だけが嫌われてるなんて知らない」