side 恋
俺は母さんが苦手だ。
嫌い、ではなくて、苦手。
ただ、接し方が分からない。
今までほとんど放ったらかしだったし、たまに会っても話さなかったから。
それが急に、旅行でホテルに向かう車の中で話しかけられたって、なんて返せばいいか分からない。
嫌いだから返事をしない、とかじゃない。
ただ、分からなかっただけだ。
「恋、俺もお前が母さんと話せるようになるまで話さないから」
途中で寄ったパーキングで蒼に言われた。
蒼は前までは母さんを嫌っていたけど、今はそうじゃない。
蒼は普通に母さんと会話ができる。
母さんだって、蒼となら普通に話せるんだ。
なのにそれをしないのは、俺が1人にならないように側にいるっていう、蒼の優しさ。
だけど、俺のせいで蒼まで会話を止める必要はない。
母さんは俺たちに嫌われてるって思ってるはずだから。
それは違うんだよって、分かってほしい。
だから。
「蒼、お前は母さんと話してやって」
夕食の時に、そう話した。
「でも…」
「いいんだ。このままじゃ、母さんが可哀想だから。母さんに嫌われるのは、俺だけでいい」
俺は母さんが苦手だ。
嫌い、ではなくて、苦手。
ただ、接し方が分からない。
今までほとんど放ったらかしだったし、たまに会っても話さなかったから。
それが急に、旅行でホテルに向かう車の中で話しかけられたって、なんて返せばいいか分からない。
嫌いだから返事をしない、とかじゃない。
ただ、分からなかっただけだ。
「恋、俺もお前が母さんと話せるようになるまで話さないから」
途中で寄ったパーキングで蒼に言われた。
蒼は前までは母さんを嫌っていたけど、今はそうじゃない。
蒼は普通に母さんと会話ができる。
母さんだって、蒼となら普通に話せるんだ。
なのにそれをしないのは、俺が1人にならないように側にいるっていう、蒼の優しさ。
だけど、俺のせいで蒼まで会話を止める必要はない。
母さんは俺たちに嫌われてるって思ってるはずだから。
それは違うんだよって、分かってほしい。
だから。
「蒼、お前は母さんと話してやって」
夕食の時に、そう話した。
「でも…」
「いいんだ。このままじゃ、母さんが可哀想だから。母さんに嫌われるのは、俺だけでいい」



