「もういい。俺がお前らの休みの交渉する」


「えー、つまんなーい」


「せっかくまた脅せると思ったのにー」


「お前らなぁっ…!!」


「「ウソウソ、嘘だって。怒んないでよ」」




今の絶対本音だろっ!!




「ねー、翔にぃ。それって父さんと母さんもくるの?」



ミートソーススパゲティをくるくるとフォークに巻きつけながら、慎が聞いてきた。



「あぁ。そもそも旅行に行くかって言い出したのは親父だからな」



「ふーん」




聞いておいて、反応が薄いな。


普通なら、普段忙しくて会えない親が来るって知ったら喜ぶもんなんだけど。




…こいつらの場合、家庭が複雑で苦しい思いしてきたからな。



そもそも、小さい頃から親が側にいないんじゃ、親っていうものがどういうものなのかも分からなくて当たり前だ。




だからこそ、俺や凛に甘えて欲しいんだけど。




「じゃ、旅行の件はこれで決まりな。行き先はまだ決まってねぇけど、とりあえず温泉に行くのは決定らしい。お前ら準備しとけよー」



「「はーい」」




こうして初めての家族旅行が決まったわけだけど。



ちゃんと無事に行けるのか…。



こいつらのことだ。


行った先で何かやらかす可能性もある。



俺は心配事で頭が痛くなった。