中学3年の夏。


「付き合ってほしい」


その一言が始まりだった。





「雅ぃ!!祐と付き合いだしたってマジ!?」

「え、誰情報なん!?昨日の今日なのに…情報回んの早ッ!!」


同級生の祐に告白をされた翌日、既に私達のことは噂になっていた。
高校受験の準備を始めるこの時期、恋愛関係の話は女子の最高の楽しみだった。



祐との出会いは4月。
中学に入り、水泳部で初めて顔を合わした。
お互いコースは違うものの、近所にある同じスイミングスクールに通っていた為、中学で水泳部に入ることは2人とも必須だった。
同時に私と同じコースの淳も水泳部に入った。


入学当時の祐は、水泳をしていたせいもあり、肌の色は黒く髪は茶色。視力があまりよくなく、しょっちゅう目を細めるせいで目はキツめ。
入学早々呼び出しを食らった一人だった。

私も祐の第一印象はあまり良く思わなかった。
むしろどちらかといえば嫌いなタイプ。



好きになるなんてありえないと思った。






ところが人生何が起こるか分からない。






気付けば私の視界には彼がいた。