リナリアの王女2



 「やっぱり夜に来るのも良いなぁ・・・」



月夜に照らされる色とりどりのバラはきっと何度見てもその度に、幻想的で素敵だと感じる事だろう。


『そう言えばあの日、夜からここにいらしたのでしたね』
「眠れなくてなんとなくここに来て、バラの世話をしていたら気づいたら朝になっちゃってたんですよね」

あの時は本当に辛かった。
何もかもを捨ててでもここからいなくなってしまいたいと思った。
でも、異世界であるここに私の居場所は他に存在するはずもなく、バラ園に行って気を紛らわせる事しか考えられなかった。



今でも何も解決しておらず辛いはずなのに、不思議とグレンさんとここにいるとあの時の事も少しは笑って話せるようになっていた。



私は倉庫から軍手を持ってきてまだ終わっていない花摘みを始めた。
・・・相変わらず花摘みしか出来ないのだが、それでも終わりが見えないほどここにはバラが多い。
作業を始めて少しすると隣に人の気配がした。

「グレンさん?」
そこには私の隣で私と同様に軍手をつけて慣れたように花摘みをするグレンさんの姿があった。

『私も一緒に花摘みをしようと思いまして』
「グレンさんが?」
『意外ですか?クラウド様が不在の時のバラの手入れは私が基本的にしているのですよ』

以前クラウドが言っていた人はグレンさんの事だったのか。

「そうだったんですね。じゃあ、グレンさんに時間がある時に花摘み以外のバラの手入れの仕方を教えてもらいたいな」

これも大事な作業だという事は分かっているが、花摘みだけではなく、違う作業も教えてもらいたかった。
でもクラウドもこれからは更に忙しくなってしまうだろうし、なかなか頼めなくなってしまうだろう。
勿論、グレンさんもクラウドが国王に正式に就任するのに伴って同じように忙しくなってしまうだろうけれど、お願いしておけばどちらかが空いている時にでも教えてもらえるかもしれない。

『分かりました。今度、お教え致しますね』

グレンさんも了承してくれて、私達は黙々と花摘みを再開した。