―コンコン―
『エリーゼ様、グレンです。お入りしても宜しいでしょうか?』
私が部屋に戻って暫くしてからグレンさんが部屋を訪ねてきた。
「入って良いですよ」
私が返事をするとグレンさんは部屋に入ってきた。
「グレンさん、格好良いですね」
クラウドもそうだったが、今日のグレンさんはいつも執務をしている時の格好ではなかった。
この国独特の衣装なのか、正装だった。
『そうですか?堅苦しいのでどうも苦手なんですけどね』
グレンさんは自分の格好を見て少し嫌そうな顔をしながら言った。
「どこかの王子様みたいですよ」
『クラウド様みたいな立場は嫌ですけどね。でも・・・欲しいものが手に入るのならそんな立場も悪くないかもしれませんね』
私の目を見ながらそう言うグレンさんの今日の格好も相まってかドキッとした。
何でか分からないけれど、私は焦ってしまい、話しの流れを変える事にした。
「それより、今日は私なんかの護衛としてついてもらっちゃってごめんなさい」
『エリーゼ様はとても大事なお方です。私はお守り出来る事を光栄に思っていますよ』
まただ。
グレンさんが私の事を大事だと言ってくれるのはクラウドの婚約者という立場だからだ。
勘違いするな。
まるで私自身を大切に思ってくれているように感じてしまう自分を必死に否定した。
すると急にグレンさんが片膝をつき、胸に手を当ててこう言った。
『必ず、この身に代えましてもエリーゼ様をお守りすると誓います』
違う、勘違いするな。
私がそう言い聞かせているにも拘らず、グレンさんは私が勘違いしてしまいそうな事ばかり言う。

