「サラちゃんはこの後はパーティーだよね?」

そろそろ戴冠式が終わりそうだったので、そう切り出した。

『はい。エリーゼ様についていたいのですが、何かと仕事も多く、更に女の私ではエリーゼ様をしっかりとお守りする事が出来ませんので』
「そんな事は気にしないで。その間はグレンさんが護衛についてくれるし、むしろグレンさんを借りちゃってサラちゃんには申し訳ないかな?」

私のからかいに対してサラちゃんは顔を赤くして少し焦った感じで返してきた。

『な、何を仰ってるんですか!?私は別にグレン様がいらっしゃらなくても・・・そ、それにグレン様ならエリーゼ様の身をお守りするのに適任だと思いますし!』

私はその可愛らしい反応がやっぱり好きで、サラちゃんをからかう度に純粋にグレンさんを慕っているんだと暖かい気持ちになる。

「ごめんね?」
私が笑いながら言うと、サラちゃんはちょっと頬を膨らませながら、

『私をからかうのはお止め下さい』
と言ってきた。

これが二人しかいないお茶会の時とかだったらどんな仕返しが来るか、それも楽しみの一つだけど、この場では私とサラちゃんは主人とその使用人という関係なので、サラちゃんも控えめにしか言い返してこなかった。

『そろそろ戴冠式が終わりますので、私は準備に行かせていただいても宜しいでしょうか?』
「もうそんな時間なんだね。私は部屋にいるからサラちゃんは気にしないで行って良いよ」
『畏まりました。グレン様にはエリーゼ様は自室にいる事をお伝えしておきます。では、失礼致します』

サラちゃんは私に一礼してからパーティー会場に向かって行った。
私はそれを見届け、そしてもう一度クラウドの姿を目に焼き付けてから自分の部屋へと向かった。