アキオ・トライシクル~心理学入門編~

 3年後、テルミの父は、自宅の縁側で孫を抱いていた。彰夫は、宅建資格が自分の肌に合わないとわかってとうに不動産屋をやめた。今では杉浦教授の推薦で、奈良大学の大学院で心理学の研究をしている。出産を終えたテルミと好美は、奈良県立美術館にキューレターとして復職した。好美とテルミは相変わらず入れ代わり現れて彰夫を翻弄するが、この頃になると彰夫もコツがわかってきていた。テルミか好美かその針が大きく振れた時は、彼女の耳のホクロにキスをするのだ。そうすると、唯一無二の彼女が彰夫の腕の中に飛び込んでくる。 (了)