「でもな,宏。
痛みが無い恋愛なんて無い。
傷つくからこそ,心に残るんだよ。」


傷つくからこそ…残る…


「傷つくから強くなるんだ。
その痛みを知ったとき,お前は本当の恋愛を理解できるよ。」


「本当の…恋愛?」


「ああ。
一生に無いくらいの大恋愛。」


兄ちゃんは少しイタズラに笑った。


大恋愛…か。


「それに,お前の気持ちが相手を傷つけるなんて,そんなの言ってみなきゃわからないだろ?


最初から諦めたらそこでアウト。だろ?」


「…だな。」


兄ちゃんの言葉が胸に染みる。


思わず鼻がツーンとしたのを感じた。


“恋愛は難しい”


と言うよりも


俺が難しくしてるのかもしれない。


なんて思った。