「おぉ?お前"アスカ"だろ?」


「ん?」


下校途中、飛鳥 斗麻は妙な人に絡まれていた。

何が妙って、その人の格好が。


ズボンはだるだるに下げられ、髪は赤いしピアスの穴は開きすぎ、しかも喋ったときちらっと見えた舌にもピアス。

Yシャツには、もはやボタンが1~2個しか見当たらない。


制服はほどほどにしか着崩さない斗麻には、不思議でしかない格好だった。


「お前誰?」


斗麻はこんな人は見覚えはない、と訝しげな目を向けた。

というより、そもそも、こんな人を見たら覚えているはずだ。


「あ?こないだヤリあったっしょ?あーん?オレが弱すぎて覚えてねぇとかほざく気か?それとも記憶ブッ飛んでんの?ギャハハッッ」


なにがおかしいのかわからず、斗麻はとりあえず首を傾けていた。


「なんなのキミぃ、そのふざけた態度?オレ様もう弱くないぜ?」


頭が弱そうだな、と斗麻は冷静だった。


同時にまたこれか、と思った。

斗麻は中学のときからこういう人に絡まれていた。

原因は、この目付きの悪さ、人相の悪さ。


特に関わった覚えはないのに、次々と街の不良たちに殴りかかられたこともある。

目があっただけなのに、睨んでいると思われたらしい。