(やっぱり可愛いなぁ)


ウィンドウからつぶらな瞳でこちらを見るクマのぬいぐるみ。

赤いリボンが似合っている。

神崎 小雪はそれに釘付けになっていた。


1週間前くらいに見つけて、学校の帰り道に毎日眺めて帰っていた。


もっと私がふわふわした女の子ならよかったのに、と小雪は思う。


そうしたら、迷うことなくこのファンシーなお店で買い物できるのに。

小雪の身長は172㎝あり、黒のショートカット。

顔つきは可愛いというより、どちらかと言えばクールと言われる部類にいた。


小雪より小さい男子は昔から多く、『小雪っていうか、大雪?』なんて昔からからかわれてきた。


が、しかし。

見た目に反し、小雪は可愛いものが大好きで純粋な恋に憧れる乙女だった。


本当なら放課後だって、ほら――今、前を歩いてくるカップルの様に男の人に甘えてみたい。


何度か付き合った人はいた。

でも、みんな『性格がキツすぎる』と、離れていった。


小雪は自分でも不思議なくらいに素直ではなかった。