「行ってきまーす」


「いってらっしゃい」


にこにこと見送ってくれる兄に一応手を振って家を出る。


大学行くまでまだ時間あるのにわざわざ早起きしなくてもいいのに。


「ふぁぁ……」


「はよ」


「…あっ!?」


門を開けると突然、誰かがぬぅっと出てきた。


あぁー、びっくりした。

誰かと思った…。


あたしは、その顔を見てなぜか少しだけ安心した。


「飛鳥くん?」


「うん」

門の外にいたのは、昨日助けてくれた不良少年…いや、優しい人、飛鳥くん。


昨日のあの委員会で、瑞希先輩に言われてたな、『不良だと思われてるけど心優しい人』って。


他人とのギャップに悩む、この人もあたしの仲間だってこと。



…でも。


「な、なんであたしの家に?」


「…なんか、心配だったから。ゴメン、ストーカーみたいだよな」


昨日、先輩に襲われかけたやつ、心配してくれてる?


「…ううん、ありがとう」


まだこうして話すのも3回目ぐらいなのに、なんだろうこの馴染んだ感じ。


自分でもよくわからない。


「でも、家遠くないの?」


「まぁ…でも気にすんなよ、俺が勝手に来ただけだし」


「…そっか」