「こっちは分からないんだけど、リンカ宛かな?」


兄が差し出したのはピンクの封筒。

今時、携帯あれば済むのに一体誰?

…まぁそもそも、あたしのアドレス帳に友達なんて登録されてないけども。


ピリピリとその場で開けてみると、普通に便箋が入っていた。


『ちょっと可愛いからって調子乗りすぎ。
男に媚び売るとかありえないキモすぎぃ

アタシの彼氏に手出さないでくれる?
性格ブスさぁん』


と、それだけ書いてあった。


明らかに嫉妬した女からの手紙だ。

わざわざ可愛い封筒にするところがよくわからない。


真っ黒な封筒とかだったら、少しは怖がってあげるのに。

「なにそれ、悪口書いてるつもりなのかな?」


兄が手紙を読んで、少し笑った。


「そうなんじゃない?こんなんじゃビクともしないのに」


あたしは手紙を封筒に戻すと、そのままゴミ箱に放り投げた。


「さすがは俺の妹だね」


よしよし、と頭を撫でられる。


兄はあたしの心がこんなものじゃ揺らがないことをわかってる。


しかも、兄もこんな手紙をもらったりするから、同じ境遇として慰めてくれたりした。


別に気取ってるつもりはないのに。