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ガシャンと鉄の擦れる音がハッキリと聞こえた。
「ティナ!!」
…この声は…曉…
…この極上の甘い匂いは…
…ティナの理性を完全に崩壊させる…
「血を…っあぁあっ血をくれっっ…ぅぅっ」
ティナは鋼色の瞳で暁を見た。
暁がピクリと肩を揺らす。
千「チッ…輸血も持ってない。間に合わぬぞ暁…。」
千秋が曉を見た。
…言いたいことはわかるが…。
曉はティナを見た。
あの日、初めてバンパイアを見たあの日のように、己の口をふさぐティナ。
飲みたい欲望と、仲間の血だからダメと言う理性が働いているのであろうか…。
曉は、腕を見た。
噛まれたことのある腕。
もう跡は残っていない。
ティナが曉に手を伸ばした。
曉は_拒まなかった…。
剥き出しの牙が近づく。
ムワンと何かいい匂いがすると感じた。
これはティナのフェロモンだ。
プツンと首に小さな痛みが走る。
熱がそこに集まる。
ドクンドクン…。
熱い…。
あぁ…。
「っはぁっ…」
曉は小さくて苦しそうな溜め息を漏らす。
「あ…かつき……ご…めんな…さ…」
口元を真っ赤に染めたティナが倒れ込んだ。
「よほど空腹だったようだな。血が止まらぬ。…曉。我が家に伝わる止血薬だ。使いたまえ」
片手にティナの肩を抱え、曉は薬をひとすくいして、塗る。

