ヴンッ。

「あーその事なんだけど。」

独りでにテレビの電源がつき、再度大石が現れた。

「お腹はすくよ。夢も空腹感も、脳が発生させるものだからね。そのときは普段通り、食事をとればいいよ。」

なるほど、確かに、空腹感も夢も脳内での現象なのだから、『ここ』で何かしらを食べて腹を満たすことは可能なのかもしれない。

ただ一つ気になるのは、夢の中で物を食べたとして、それが栄養へと変わるのだろうか…ということ。
私達の『本体』は、きっと大石の研究所なりに横たわっているのだろう。
それらはこうして夢を見、物を食べることはできない。
ならばどうやって…。

そこまで考え、大石に聞こうか、と思ったが、やめた。
おそらくだが、大石が答えたとして、心地のよい答えは返ってこないだろう。
パジャマンや私はともかく、女性はあまりその類いの話が得意ではないかもしれない。

私は「わかった。」とだけ返事をし、テレビの接続を終わらせた。