振り下ろされた巨大な腕を素早く回避する。

そして離れ際に、高速の突きを見舞う!

槍の穂先は何度もゴーレムの腕を貫き。

「…チッ」

すぐにその傷は塞がってしまった。

「お前はもう少し賢いと思っていたんだがねぇ、紅」

ゴーレムの肩の上からガーラが言う。

「このゴーレムは泥で出来た人形だ。ましてやこの巨体…槍でどれだけ突いた所で効果など望めやしないよ」

「……」

無言のまま、俺はガーラを見据えた。

そんな俺の頭上に、再び巨大な手が襲い掛かる!

俺はそれを横っ飛びに回避し。

「紅!」

背後から聞こえた乙女の声に振り向かぬまま反応した。

槍を地面と水平に構える。

その槍の柄に飛び乗るように、乙女が跳躍する。

乙女との呼吸を合わせ。

「おぉぉおおぉおぉっ!!」

槍のしなりと俺自身の力を利用して、乙女を空中へと跳ね上げた!

今の俺と乙女には、『強化』の魔術が施されている。

その効果も相まって、巨大なゴーレムを飛び越えんばかりに、乙女は上空へと舞い上がった。