ゴゥッ、という強い風。

銀髪がその風にかき乱され、白い光に目すら開けていられなくなる。

一面白の世界。

その世界に、私は立っていた。

…何だここは…。

一体何が起きている…?

強い日差しとも、優しい月明かりとも違う、感じた事のない光。

閃光ともいえるその光の中で、私は目を細めているしかなかった。

やがてその光が少しずつ収束していき、視界が甦ってくる。

細めていた目が少しずつ慣れ、私はゆっくりと瞳を開く。

「……」

そこは、薄暗い地下の一室だった。

石造りの冷え切った地下室。

蝋燭の灯りだけが、唯一の光源だった。

その灯りに照らされて。

「ようこそおいで下さいました、乙女様」

紫色の衣に全身をすっぽりと覆い隠した老婆が、私の目の前で微笑んだ。