もう相当数のスケルトンを倒した。

足元には砕けた骨が散乱している。

それは何かの絵で見た、シャレコウベの山積みされた地獄の光景のようでもある。

そんな骸骨の朽ち果てた足場を踏みしめ、俺と乙女は呼吸を整える。

…魔方陣からは、次のスケルトンの軍勢が召喚されている。

さっき召喚された連中もまだ片付け終わっていないっていうのに。

俺は歯噛みした。

…完全に俺が足手纏いになっている。

乙女一人で、召喚されたスケルトンを半分以上倒している。

俺が倒したのは三分の一にも満たないだろう。

俺がもっと手際よく倒せていれば、乙女に負担をかけないで済むかもしれないのに。

そんな事を考えていると。

「何を悔しがる必要がある」

俺の隣で乙女が言った。

その表情には余裕の笑みすら窺える。

「正直に言ってしまえば、私はそなたに期待はしていなかったのだ。傷を負わぬ程度に私の手助けをしてくれれば良いと考えていた。ところがどうだ…そなたは魔術の矢で、私に絶妙の援護をしてくれる。数で私が押し切られぬように、あの骸骨どもの足止めをしてくれている」

「え…あ…」

それは…俺の魔術は接近戦は向いてないから、せめて遠距離から乙女のフォロー役に回ろうと思った訳で…。

「そう、それだ。そなたは己の特性をよく理解し、何をすべきかをよく理解している。弓兵の役目は敵を倒す事ではない。敵の出足を止め、陣形を崩し、自軍の騎士の付け入る隙を作り出すことだ」

そなたのような優秀な弓兵は女神国に欲しいくらいだと。

乙女は偽りない笑顔で俺を絶賛した。