「な゛っ…」

即答した俺に、目の前の女は唖然とした表情を見せた。

が、驚かれる謂れはない。

「あ、あんたねえ!事情も聞かないで断るなんてどういう了見よ!」

「貴様こそいきなり呼びつけておいて力を貸せとはどういう言い草だ」

肩をすくめ、俺は苦笑しながら溜息を吐いた。

その態度に怒りを覚えたのか。

「召喚された奴は召喚主の命令に従うものなの!世界共通召喚術のルールでしょうが!」

女は大声でまくし立てた。

何と品のない粗暴な女だ。

「いつ決定した決まり事か知らんが」

俺は目を閉じて薄笑みを浮かべた。

「それは貴様らのような怪しげな術を使う連中の掟だろう。生憎と俺はそのような術には無縁の…」

言いかけたその時。

「!」

女は、俺の鼻先に刃を突きつけた。

氷で出来た、風変わりな剣。

その切っ先が俺に向けられる。

「悪いけどあんたの屁理屈聞いてあげてる暇はないの。ツベコベ言ってないで力を貸しなさい」