…私、人の顔みないからなー…ってそんなことってある?
…もう五月…だよ?
それに、この反応は相手も私を認識していないってこと…
そりゃそうか。私が人の顔を見ない分、周りの人も私の顔を見ない。
「あのさ、俺がここのクラスだって知ってた?」
「え?」
「いや、さっきから俺に敬語だから、もしかして認識されてないのかな〜と思って」
少し落ち込んだ様子の彼。
「あ、えっと…すみません」
「うわ、やっぱり…そんなに影薄いかなー」
いやいや!薄いなんてことないでしょう!あなたが薄かったら私なんて…
「野茨 沙織ちゃん」
「え?!どうして…私…の…名前を…」
急に名前を呼ばれ驚く私。
「俺、顔と名前覚えるの得意なんだよね〜」
「そ…そうですか」
「あ、早く着替えようかな」
「はい…!」

