なっ何か話すべき?

や、でも名前すら聞いてないし…あ、名前聞く…とか?

…でも厚かましいと思われないかな?


ともちゃん以外の人と歩くのが久しぶりでどうすれば良いのか分からず取り敢えず彼の後ろを俯きながら歩く私。



「うっ…」



するといきなり立ち止まった彼の背中にぶつかってしまった。

よろよろと後ろに下がると、くるりと振り返った彼が私の手を掴み、屈んで私と目線を合わせてくる。



……無理!目を合わせるなんて!そんなのできない!


必死の抵抗で目を逸らすのだけど、それに合わせて覗き込んでくる。


焦って思わず目をぎゅっと瞑ると、


「ぷっあははは!何それ」


と笑われてしまった。


恐る恐る目を開くとそこには見たこともないくらい輝かしく綺麗な顔をした彼が私を見て笑っていた。



王子様だ…!


綺麗な顔立ちに優しい人柄。

この人は王子様の様だと思った。

これが、私の彼に対する率直な感想だ。