「すみません…」
「嫌ってわけじゃないけどね〜?」
…ちゃらい。
「あの!翻訳って…その…楽しいですか?」
「んー?楽しいよ?こうやって自分なりの訳を付けていって、他の人の訳も読んでみる…するとね?自分の持ってる語彙と他の人の語彙の差で少しニュアンスが違う物語が読めるんだよ」
「へぇ」
「やってみる?」
「えっ…?」
「や、興味あるのかなと思って。英語なら受験の邪魔にならないでしょ。息抜き程度にさ」
雪柳さんの話を聞きながら楽しそうだと思っている私が居た。
「やってみたいです」
「じゃあ、今訳してるこの本を貸すよ。さおりちゃんとどう訳が変わってくるか楽しみだ」
にこっと笑う雪柳さんは今度は取り繕った笑いでは無くて本当に楽しみにしてるというのが伝わってきた。
しかし相手は小説家だ。
真剣に自分のもつ全ての力で挑まなければ。

