臆病な私でも恋はできるのか。





屋上の扉を開け、出てみると、ちょうど一発花火が打ちあがった。



花火の上がる音。


少し経って夜の空に綺麗に映える花火。


時間が開いてどんと響く音には小さい頃から慣れない。



「綺麗…」



ぽつりと呟くと、隣に居た彰人くんがにこっと笑いこっちを向いた。



「でしょ?ここ、特等席。小学生のころ一度こっそり来てから来てなかったんだけど、やっぱりここからだと綺麗に見えるなー」



「せっかくの特等席なのに来てなかったんですか?」



「もったいないことしてたよね」



もう一度打ちあがった赤っぽい花火が彰人くんの顔を照らす。


どこか寂しげな笑顔を浮かべていたことに気づいてはいたのだけど、どうしてか怖くなって、どうしたのかとその一言が出なかった。