臆病な私でも恋はできるのか。





「あー、えと…その…俺、沙織ちゃんと付き合うことになったから…報告を」


「わざわざ?ま、いつかそうなるとは思ってたけど!…あ、もしかして。お互いの気持ちが実ったら元に戻るとかそういうことだったのか…?」


「どうだろう…ってそこまでメモするの止めてくれます?」



そう言うと、メモを取っていた手を止めペンを置く雪柳さん。



「ごめんごめん。で?本題はそこじゃないでしょ」


「うん…こういうの言うとかちょっと恥ずかしいんだけど…その…花火大会…」


「はいはい。ま、付き合ってると知った以上は協力してあげないとな」


「…良いの?」


「大事な甥っ子のためだぞ?当たり前だろ!何かしら嘘並べて当日ドタキャンしてやる」


「ありがとう…」


「疲れてるんだからしっかり体休めないと!ほら、早く部屋に戻る!」



ぐいぐいと背中を押されて部屋を追い出されたけど、やっぱり雪柳さんは良い人だ。