何度かコールが響く。
スピーカーの状態にして雪柳さんが出るのを二人で緊張しながら待つ。
「もしもーし」
電話口から優しそうな声が聞こえる。
反射的に強張った体は少しの間を与えた。
「どうしたー?彰人から電話なんて珍しいね」
「とっとりあえずうるせーって言って…」
ぼそっと隣から耳打ちが聞こえる。
「う…うるせー」
う…声変じゃなかったかな?大丈夫かな?
「用件…!」
あ!そうだった!柊くんに言われ、そうだったと思い出す私。
あ、あれ敬語なのかな?タメ口なのかな?
「けっ敬語ですか?タメ口ですか?」
電話口を押さえ慌ててそう聞く。
「えっと…頼みごとと…謝るときは敬語で、あとはタメ口」
こくこくと首を振り、電話に戻る。

