「そんな………。」
私は夜風千陽の話を聞いて、言葉を失っていた。
そして一筋の涙が頬を伝った。
夜風千陽の話はこうだった。
ヴァンパイアには、人間の血が一切入っていない純潔と、人間の血が一部でも入ってる純潔ではないものとの二種類。
そしてその昔、人とヴァンパイアは歴史にこそ残っていないが互いの利益のもと…、人はヴァンパイアの力を借り…ヴァンパイアは人の血をもらい…共存できていた。
しかし、数百年前…ヴァンパイアがもつ、人とは比べるにも値しない、寿命…容姿…力…聡明さ…治癒能力…特殊能力に恐怖した人間は、人間の血を糧とする彼らを「人食い人種」と称し、ヴァンパイア狩りを始めた。
余程のことが無ければ、命を失う事のないヴァンパイアだが、完全なる不死身ではない。
心臓を刺され、跡形もなく燃やされれば命も失ってしまう訳で。
彼らヴァンパイアという種族は、多くの仲間を失い…特に純潔のヴァンパイアは数えれる程になってしまった。
そして、減ってしまった血を残す為に…ある掟と言う名の呪いと運命(さだめ)ができた。
夜風千陽の話は続いた…。
現代でヴァンパイアは、表面上は人と生活しヴァンパイアである事は隠し生きている。
私達が知らないだけで、歴史上の偉大な事を残したものや、芸能人やスポーツ選手…いたる所にヴァンパイアはいてるらしい。
彼らは、
時に人間社会に溶け込んで生活し…
時に人間と関わらず隠れるように潜む…
それを数十年のサイクルで繰り返し生きてきた。
人間の寿命が80年とすれば、ヴァンパイアの命は人間からすれば半永久的なもので…。
純潔でなくても数百年前。
純潔に至っては千年以上もの時を過ごす。
時間の流れが人間と全く違う彼らは、成長、老化速度が遅いのだと言う。
そして、私が純潔のヴァンパイアと思った所以がこれだ。
日本産まれの純潔のヴァンパイアには代々、千年の時を生きる、という意味を込め名前に「千」の字を使うそう。
名前に「千」と言う字を使い、恵まれすぎた容姿…何より、父親。
私のことを、純潔のヴァンパイアとしか考えられない。と夜風千陽は言った。
でも…
私は成長速度も人間と同じだし、
人より学力も運動能力もあるほうではあるが、特別秀でていると言った訳ではない。
第一、言霊のような特殊能力なんて全くない。
だけど…
純潔だけが扱える「言霊」。
彼らの目を見て言われた命令や指示をきいてしまうと言うもの。
顕在意識はもちろん、本来なら潜在意識そのものまで操るらしい。
これは人間だけではなく、人間の血を流れる純潔でないヴァンパイアにも有効なそうで、夜風千陽もこんな事は初めてで…。
それも純潔に間違いないと感じる1つだった。
