車に戻ると、夜風千陽は運転手に行き先を告げ…新しく購入したスマホを何やらカチカチ触っていた。
私は、することもなく車窓の景色を眺めていた。
「ほら。
俺の連絡先を入れておいた。
俺からの連絡は絶対に取れ。
それ以外はお前の好きに使えばいい。
使い方は友達が泊まりに来た時にでも聞け。」
そう言って、夜風千陽が私にスマホをほり投げるように渡した。
「えっ!?
お金は?」
「家畜から金を取る主人をみたことがあるか?」
私が想像したのは、豚からお金を取ろうとする牧場主……。
確かにありえない…。
コイツにとっては、私の世話をするのは当たり前ってことで…。
でも私は人間で…。
コイツの餌かも知れないけど、コイツにとって家畜かもしれないかど…
ここまでしてもらう義理もなければ、仮も作りたくない。
「いい!そこまでしてもらおうなんて思わない!
機種代は今すぐは無理だけど少しずつ払うし、毎月のお金はバイト代からあんたに払うから…。」
「舐めてんのか?
どこに家畜から金せびる主人がいるかって言ってんだよ。
お前は俺に与えられた物を尻尾振って喜んでりゃいーんだよ。」
「やだ!!!」
コイツの目は怖くて、今すぐにでも言ったことを訂正したい気分にもなったけど、コイツに仮なんて絶対作りたくなかった。
プライドだけは持っていたかった。
「んじゃー、身体で払え…。
丁度喉が乾いてたんだ。
家についたらたっぷり、支払い分頂いてやるよ。」
夜風千陽は、猟奇的な笑みを私に向けた…
