「好きなの選べ。」
携帯ショップに着くなり、夜風千陽が私に言う…。
好きなの?
そんな事言われても、今までスマホはもちろんガラケーすら持ったことがない私は、どれがいいかなんて分からない。
しかも、どれもこれも…お値段がとんでもない!!
私は軽く目眩を感じた。
「…持ったことないから、わかんない。
一番安い奴でいい…。」
そう言うと、夜風千陽はため息をついて…。
「金のことは気にするな…。
お前の友達が持ってるやつはどれだ?」
友達って瑞希のことだよね?
確か瑞希が持ってるのは…
「これ!
でもお金の事気にするなって、そりゃあんたはお金いっぱいあるだろうから、気にしないかもだけど…、私はお金がないから気にするの!」
「これだな。」
そう言うと、私が指刺した瑞希が持ってるものと同じスマホを手にとって、
他の私の言葉はまるで無視でそそくさとカウンターへと行って腰掛けた。
勝手の分からない、夜風千陽の後を追いかけ、隣に座る。
「ご新規ですか?
それとも機種変更でしょうか?」
店員のお姉さんが尋ねた。
「新…」
「僕の名義の二台目の携帯で契約したいのですが。」
私が「新規で…」と言おうとしたら、夜風千陽がそれを遮るように話し出した。
「追加購入ですね。
かしこまりました。
機種はこちらでお間違えないでしょうか?」
「はい。それで結構です。」
その後も店員さんと夜風千陽は契約もろもろのお話をし、プランというものを決めて、契約書にサインをしていた。
「こちらでの手続きは以上です。
ありがとうございました。」
いつのまにか全てが終わったようで、店員さんから赤い袋と新しいスマホを夜風千陽は受け取った。
「そしたら千愛。行こうか。」
店員さんの前なので、私にも学園王子のままの夜風千陽が笑顔を向けて私にそう言った。
「はい。」
千愛!!?
気持ち悪っ!!と思ったが、そんな事を言う勇気もなく私は夜風千陽の後を追って、店員さんに軽くお辞儀だけをして、携帯ショップを後にした。
