瑞希の後を追ってトランクケースを持って下へ降りると、ジーンズにロングTシャツにベストを羽織った…
いかにも好青年風な夜風千陽が持ってきた手土産を、出迎えたママさんに渡している所だった。
「月野さん。こんにちは。
準備はもうできてる?」
「こんにちは。
はい。できてます。」
私に気づいた夜風千陽が言った。
「せっかくなんだし、少し上がって行って?
これから千愛ちゃんがお世話になるんだし、私も少しお話したいわ?」
そう言ってママさんは、夜風千陽は家に招き入れようとする…。
「お気持ちは嬉しいのですが…、
前に車を待たしておりまして…。
また日を改めて、お伺いさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あら!そうなの?
それなら仕方ないわね。
そうね。千愛ちゃんとまた一緒にでも遊びにきて頂戴。」
「はい。ありがとうございます。
瑞希ちゃん。いつでも月野さんに会いに遊びに来てあげてくれて構わないからね。
そしたら…月野さん。
行こうか?
荷物はそれだけかい?」
夜風千陽は、ママさんと瑞希に挨拶すると、私に目線をよこした。
「はい。」
「貸して?運んで置くから。
そしたら僕は先に車に戻っておくから、挨拶を済ませたら出ておいで。」
夜風千陽はそう言うと、私のトランクケースを手に取り、ママさんと瑞希にもう一度お辞儀をし、瑞希宅から出て行った…。
「キャー!!!」
「キャー!!!」
ドアが閉まると同時に黄色い声を出して、お互いの手を持ってピョコピョコ飛び跳ねる瑞希とママさん…。
「瑞希の言ってた通り…いえ、それ以上ね?
とってもハンサムで、誠実そうな方ねっっ!」
「でしょ!?
めちゃくちゃかっこいいでしょ?
本当、千愛が羨ましいよ!!」
「あの人が、千愛ちゃんのルームメイトなら、ママも安心だわ?
パパと一希がいなかったのが残念ね…。
きっと2人も彼を見たら、きっと安心して千愛ちゃんも見送れたのにね…。」
そう…パパさんと、特に一希君は最後まで、ルームシェアは反対だった。
パパさんは休日出勤。一希君は今年受験なので、連休中と塾の短期講習に出ていてここにいない。
一希君は「何かあったらすぐに戻ってきてね!」と心配そうに、塾に行ったのだった。
「ママさん、本当ありがとうございました。
パパさんや、一希君にもよろしくと伝えてて下さい。
また今まで通り、ちょくちょくここには遊びに来るつもりでいてます。
瑞希も本当いろいろありがとね?
あの広い部屋には当分慣れそうにないから、また泊まりに来てね?」
「あっ!いい忘れてた!GWの最終日、泊まりに行ってそのまま、千愛と一緒に学校いくよ!
先輩には、もう許可もらってるから大丈夫だよ?」
いつそんな話したの?
とも思ったけど、そう長いことアイツを待たして置けない…。
「そうなんだ?
明後日だよね?…会えるの楽しみにしてるね。
そしたら…。
行って来ます!!!」
私は心配かけまいと、精一杯の笑顔で瑞希とママさんに別れを告げて…
私は瑞希の家のドアを開けた。
